2014年5月22日木曜日

ビーバよさようなら

日向ぼっこが大好きでした。自分の欲求を訴えることは殆どなく、万事につけ控え目、謙虚なビーバでしたが、自分の居場所を確保するのが上手くて、いつも特等席を確保していました。二月後半から動きが鈍くなり、食欲も落ちました。三月一日の夕方に容態が急変し、暗く冷たい場所に身を隠そうとしはじめましたが、夜11時にはお気に入りのストーブの前の爪研ぎの上に戻り、じっと踞っていました。横に置いた猫布団に寝かせると、そのままぐったりとなりました。それから二時間後、二日の午前一時五分、痙攣がおこり、その後動かなくなりました。掠れるような小さな声で「ニャー」と鳴きました。ビーバの臨終の言葉でした。技術実習室から金工室から木工室へ、さまざまな人に可愛がられ、また時には排除されたりしましたが、全てをあるがままに受け入れ、飄々と長い猫生を生き抜きました。最後の三年は家猫として大勢の猫たちと交流しました。ビーバに句が詠めたら、高杉晋作のように「面白くきこともなき世を面白く」と詠んだかもしれません。

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